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ファミコン版天地を喰らう 軍師キャラの隊列変更阻止について

 天地を喰らうシリーズは策略を使うにあたって「軍師」に任命された武将がいないと使用不能になるのですが、軍師に任命された武将は戦闘が開始されると隊列の一番後ろに配置され、隊列が6人以上になると直接戦闘に参加できなくなるというシステムになっています。これがいわゆる文官タイプ(武力や兵士数が低く知力が高い傾向の武将)であればまだいいのですが、劉備や馬謖や姜維のように文武両道の武将を軍師に任命する必要がある場合は事情が変わってきます。そこで、軍師に任命した武将がどのような処理で隊列の一番後ろに回されてしまうのか調べてみました。その結果、大まかに言うと「戦闘開始時にまず隊列の人数をチェックし、6人未満である場合は各武将の状態をチェックし、正常であれば隊列の位置そのまま、それ以外の状態の武将は隊列の最後尾に変更する。6人以上の場合は軍師を隊列の最後尾に移動させるが、負傷中の武将がいる場合は更に軍師の後ろに配置する」という処理内容でした。ここで言う武将の状態は「00=負傷中(戦闘不能)、40=軍師、80=正常、C0=正常かつ軍師」の4種類で、この処理内容を変更すれば軍師に任命した武将も隊列の変更がないまま戦闘に参加できそうです。つまり「隊列が6人以上でも6人未満でも武将が正常な状態であれば隊列の位置そのままを維持し、負傷中の武将のみ隊列の最後尾に変更する」とすればよいのではないでしょうか。この仮説を基に改変を行い、成功すればパッチとして公開する予定です。

ファイアーエムブレム紋章の謎 ソルジャー導入実験と下馬時のクラス分岐考察

 ある種のカルトゲーム扱い気味なファミコン版と比べて「これぞ元祖ファイアーエムブレム」的なゲームとして圧倒的な人気と認知度を誇るSFC版(実際には「外伝」や「聖戦の系譜」と同様、元々は別の世界や大陸を舞台にした「暗黒竜と光の剣」とは話の繋がりがないゲームとして加賀昭三氏が企画した作品を任天堂からの強い要望で途中からFC版のリメイク及び続編とした…との事)ですが、データ解析やバグ修正、ハックロム等の状況を見渡すと国内でも海外でも圧倒的に情報が多いのは「聖戦の系譜」や「トラキア776」ばかりで、「紋章の謎」はあまり関心が寄せられていない気がします(FC版は解析情報すらほとんどありませんが)。

 私は未プレイですが、「紋章のビラク」というある意味で公式の世界にすら影響を与えた有名なハックロムが存在する割には、この現状は少々寂しい気がしなくもありません。そんな訳で…という事でもないのですが、中古品を入手するとほぼ間違いなくバグだらけの初期版を購入する羽目になる本作(納期の関係で碌にデバッグせずに発売したのか、とにかく大小様々なバグが多く、当時小学館から発売された公式攻略本の後編にはバグ告知コーナーが設置され、大量のバグを記載すると共に未記載・未発見バグの報告を募っているという有様でした)には致命的な不具合をかなり修正した後期版が存在(私は現物を見た事がないのでどの程度出回っているのか、また見分け方も不明ですが、例によってROM背面のシール刻印にアルファベットが使用されているのでしょう)し、後にニンテンドウパワーでの書き込み用にデータ販売されたものはこの後期版になっています。

 ちなみに私は「紋章のビラク」をプレイするために後期版のROMを探してはいるのですが、今までROM版の現物にお目にかかった事がなく、現在所持しているニンテンドウパワー版(これはプレイの結果から後期バージョンである事が分かっています)の吸い出し環境を整えるべきか本気で考えている次第です。私が使っている吸い出し用の器材はSUPER UFO PRO 8なので本来はニンテンドウパワーのフラッシュRAM吸い出しや書き込みに対応できるらしいのですが、全然上手くいかないのです…。しかし各種バグや不具合の解析や修正をするのもそれはそれで面白そうなので、今後「紋章の謎」を解析したりパッチを公開する際は、吸い出しに成功している初期版ROMをベースにやっていくつもりです。

 さて、SFC版(いわゆる「紋章の謎」)では「おりる」というコマンドや屋内マップでSナイト・パラディン・Pナイト・Dナイト・に変化するのですが、ホースメンが下馬してハンターになっても特に使用武器が変化しないのに対してナイトは使用武器が槍から剣になるので屋内では槍を使えるクラスがAナイトとジェネラルだけになってしまったり、下馬した状態の各種パラメーターが下がったナイトは傭兵系クラスの劣化版に成り下がってしまうという問題点があります(それ以前に、上級クラスのユニットが下馬すると大半の各パラメーターが下級クラス並みの数値にダウンするというのが最大の問題かもしれませんが)。また屋内マップではこれらのクラスは強制的に下馬を強いられるため、屋内での能力値の大幅なダウンが避けられません。元々騎乗タイプのクラスが徒歩のクラスと比べて特別に高い能力を持っている訳でもない事(移動力や空を飛べるという利点くらいしかなく、騎乗しているとかえってナイトキラーや弓に弱くなるなど弱点が増えるというデメリットすらあります)や、後半から終盤にかけては騎兵の移動力を生かせないゲリラ戦のような戦いや屋内マップの多さ(特に最終マップは必ず屋内)を鑑みると、何度かプレイしているうちに最初から徒歩のクラスを使った方がよいというプレイスタイルに至る問題すらあります。

 なおアメリカのファンタジー映画「レディホーク」では主人公の一人・ナバール(FEのナバールや漫画「ベルセルク」の主人公・ガッツのモデルとなった、オランダの俳優である故ルトガー・ハウアー氏が演じた黒衣の騎士。長大なバスタードソードとクロスボウを武器に、かつて自身が仕えた司教の軍勢を相手に戦います)が敵の本拠地・アクィラ城内の石畳や廊下を普通に馬で走り回って敵を蹴散らしながらラスボスである司教のいる大聖堂に突入するシーンがあるので、馬止めでもない限り別に城の中で馬が使えない訳でもなさそうですし、GBA版以降では下馬システムそのものが廃止されたという事は、やはりこの仕様には不満の声が多く寄せられたのだと思われます。

 話が少し逸れてしまいましたが、これらの問題の解決策としては「FC版やGBA版以降のように屋内マップでも下馬しない仕様にする」か「下馬した時でも移動力以外のパラメーターが保持されるようにする」という二つの方法が考えられます。個人的には下馬しない仕様に変更する方が好ましいと思うのですが、一応下馬する事によって騎乗時の弱点であるナイトキラーや弓に対抗する事ができるというメリット(メリットなのか?)も捨て難いので、槍を使えるクラスを増やすという意味では下馬する際にナイトではなくソルジャー(本来は敵軍専用の槍歩兵)にするというのも面白そうです。試しに解析してみたところ、上の写真のように意外と簡単に下馬状態のクラス指定を変更する事ができたのですが、率直に言ってパラメーターを見る限り非常に物足りない…というか弱いと感じるのは私の気のせいでしょうか。
 今度は通常通りナイト状態のジェイガンの写真です。各パラメーターを比較するとナイト状態とソルジャー状態では「わざ」と「速さ」が1、「守備」が3劣るのが分かります。というかこれがソルジャーとナイトの基礎能力値そのもので、実際のところソルジャーとナイトを比較するとソルジャーの各種パラメーターがそこまでナイトに劣っている訳ではないというのが分かります(むしろナイトの基本能力がソルジャー並みに低いと言うべきなのかもしれません)。しかし騎乗時の槍がそのまま生かせるのはともかく、ナイトからソルジャーに変更すると守備で3も劣るというのは、敵で登場するのであればまだしも倒されない事を前提に戦わねばならない自軍側のキャラクターとしてみた場合、この数値で実戦でまともに使えるかと言われればかなり厳しい気がします(槍は剣と比べて重いのも向かい風になります…)。このままでは劣化傭兵から今度はアーマーキラーに弱くないという利点だけの単なる劣化Aナイトになってしまう(パラメーターの最大値が20のSFC版ではソルジャーが育ちきると逆にAナイトやジェネラルが御役御免になる可能性が高いので下馬状態を劣化剣士にしたのかもしれませんが)ので、ソルジャー状態でできる事を増やすかソルジャーの基本パラメーターを補強する、あるいは下馬してもパラメーターが下馬前のパラメーターが保持される事が望ましいのでしょうね。他には槍系の武器の重量を軽くするとか、色々と考えるべき事があるのかもしれません。

 ここまで見ていくと「おりる」を実行するとパラメーターが軒並み低くなるのは、「ナイト」というクラスがSナイトやPナイトといった各下級騎兵の基本パラメーターに合わせて設定されている事に起因するためで、逆に言うとパラディンやDナイトの基準に合わせた上級クラス用の下馬状態ナイトを新たに設定すればいいという事になります。処理的にはSナイトとパラディンのそれぞれで「おりる」を実行した場合に変更されるクラスを別々にする事自体は可能なので、没クラス枠を利用する等して下級騎兵だったらソルジャー、上級騎兵だったら上級ソルジャー、ホースマンだったらハンターとは別枠の専用上級軽装弓歩兵、またはスナイパーに変化するという差別化、それに敵専用クラスのシューターを自軍でも使えるようにして「おりる」で専用の弓歩兵や移動用の「攻撃できない」歩兵にするなどの改変をしていくとなかなか面白くなるのではないかと思います。

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